いつか記憶から零れ落ちるとしても

思いやりのある優しい男の子

上書きなんて軽く言わないで


ひと段落したので。


2019年 年の瀬 もう彼を追うことはないと書き記したけれど、3月〜6月 毎月彼を見に行っていた。
毎月見るなんて彼が掛け持ちしていた頃(随分と前の話)以来。
3月はzeppでアルバムのリリイベとミニライブが行われ、両方とも当選したので足を運んだ。
ライブハウスという小さな箱で収容人数も半分以下。
3回の事前アンケートを経ての参加権が得られる。
4月からはホールツアーがスタート。3月よりも開催される地域が増え、全国規模になる。

ライブハウスは“本人だけ”と“本人とサポメンのみ”の興行で、シンプル。余計なものを削ぎ落とし、でも荒削りではなくて丁寧に作り込まれている印象を受ける。
ホールでは、そこにキラキラとした眩さが加えられた。

ライブハウスでの公演を踏まえてのホールツアーは、ホールくらいの大きさ(広さ)になるとこんな演出も出来るんだ!と驚くことが多かった。
ホール規模でのコンサートに参加したことが何度かあるけれど、それでも“凄い”と感じた。

紗幕に映像を映したOPはまるでシアターのよう 物語が始まる予感がし思わず見入ってしまった。途中で謝罪会見挟むのは不謹慎で笑ったけど(笑)そういうとこだぞ(笑)
ホールでも火を使って良いんだと思ったし(笑)こんなに色とりどり数々の照明を使えるんだ!?と目から鱗の連続。
本人がどこまで携わっているのかは知らないけれど、演出がどれも素敵だった。
もともとのツアーが“裸一貫”であるならば、今は装飾がなされていて、とても凝っている。
既存曲をジャズアレンジに編曲し大人っぽく仕上げることで一味違っていたり、ポップな新譜もあり、とても良かった。ジャズアレンジは何なら原曲よりも好き(笑)
MCは相変わらず世間話が多かったけれど(笑)とは言え、言いたいこと伝えたいこと話すべきことを自身の口から伝えるようになっていた。

6月は緊急事態宣言による延期の日程。本来は5月に完走する予定だったツアー。
正直何度も入っているので、飽きが出てきてもおかしくはないところに、ストリングスが追加されていて、これもまたよかった。
ストリングスが入ると幅が広がり壮大になる。聴く心地よさが聴く気持ち良さへと変化する。



正直に書くと、去年の夏も見に行った。
コロナ禍でエンターテイメントは全て止まっている状態の中、夏にファンミーティングを開催するという突然の発表だった。
ファンクラブ会員の有効期間内だったのと、エンターテイメントという非現実空間を欲していたので迷わずに申し込んだことを覚えている。

開催日の1週間前から体調アンケートが送られてきて、当日の朝を含めた計5回。怒涛のアンケートメールが届く。午前中に回答し終えなくてはならずなかなかハードだった。
当日の入場時間は席によって区切られ、サーモグラフィーによる体温測定、身分証確認、靴の裏の消毒、これらを乗り越えて座席まで行けるという流れ。
中のトイレも全てペーパータオルに変えてあり、座席は1席開けかつ前の座席とは被らないようになっていて(千鳥格子)昼の部と夜の部で使用する席を変えていた。
規制退場で、人が去ると消毒作業が始まった。
ここまで徹底していたら、ここで感染するとは思えないし、これで感染するなら日常生活で感染するだろと言える対策で、ただただ凄いなあと思った。

会場も誰も一言も喋らないしくすりともしない。
アリーナクラスの大きな会場でもここまで静かになる。
真っ暗闇の中静まり返った会場。
今までこんなに全く音のない空間に身を置いたことはあっただろうかと思うくらい。
その中で明るく照らされるステージと放たれる照明の光。
その日、肌に触れた冷気、体感した緊張が漂う空気や静寂、きっと何年経っても忘れられないだろう。

後から本人がリプライやDMで「こんな時に開催されても行けません」と投げつけられたと話していたけれど、そんな中出来うる限りの対策を講じ成功を収めたのは本当に凄いと思うし大変だっただろうと思う。
その頃はまだどのアーティストもライブを行っていなかった時期だったね。
ストリングスやサポメンの奏でる音、直で見れる聴ける方がやはり楽しいと再確認した。

少し触れると、今年もDMで脅されていたみたいで、一人でやって行くのは今まで関与していなかった面においても神経をすり減らすことになるのだと思う。
緊急事態宣言によって5月のライブは2公演中止に追い込まれていて、それでも振替公演を開催するべく即時対応・数個の代替案を敏速に打ち出してきていて、この一連の動きがただただ凄まじかった。
もはや意地や我儘でしかない解決方法だったので(笑)たぶん元の事務所だったら有り得ない、独立したから出来ること。
けれど、好きな人からすれば惚れ込む(惚れ直す)対応だろうなと思った。


去年の夏は暇だったから『元気?』って軽いノリで申し込んで(笑)全部当たって見に行って、その気持ちが大きかったのと、停滞する世の中に一筋の希望の光みたいに思えて、なんだか胸いっぱいになって。
ようやく この4ヶ月間を通して、かつての肩書きとかなしに錦戸亮 個人として捉えられるようになった。
2019年に見に行った時はまだ事務所に所属してるかと錯覚しそうになってたのに。なんだか私自身もすっきりした気がする。

元気そうな姿を目にすると安堵した。
充足してるのか錦戸さんのお顔が健やかかつ柔らかく、そして周りにもファンにも甘えてたと思うが(笑)独立して2年、大変なこともあった(ある)だろうけどこの道を選んだこと悪くないじゃんと思わされる姿だったことが収穫と言うか素直に嬉しかった。
好んで・選んで独立したからと言って、全ての人が上手く行く訳ではないし、決して今が良くてもこの先のことはわからない。それに、仕事のオファーが続くのか・これ以上新しいファンを獲得できるのかなど非常に難しく厳しい道のりであることは明白。
だけど、見ていたら「悪くない」と思った。

そう思わせる姿を提示してくれたことが嬉しかった。
そう思わせる姿勢で在り続けてくれていることにありがとうと思う。

そして、本人が何と言おうとやはり『アイドル』だよ。