いつか記憶から零れ落ちるとしても

思いやりのある優しい男の子

羽ばたいて前途を目指して


映画誌から記録する永瀬廉





演じる役が高校生ということから、インタビューはれんくん自身が高校生だった頃にも焦点が当てられていた。


「すべてを懸けられるものが見つかっていなかったかも」と話す。

「ジャニーズでずっとがんばっていく!という覚悟があったかと聞かれるとわからない。まだふわっとしていた。」

その言葉を読みながら、当時事あるごとに発していた一つの言葉を思い出して、確かにふわっとしていたなと思う。
言葉の意味を、言葉を発することの意味を、深く考えずに口にしているのではと感じる時があった。
等身大で無邪気に過ごしていたとも言える。


高校一年生の頃、実際のれんくんは悩むことが多かったように思う。
と言うより、様々なことで思い悩んでいるように見えた(見えた時があった)
でも、ステージの上で演じること、率先して話すこと、ダンスや歌やバク転…とにかく目の前に立ち塞がるもの全てに対し、ひたむきに、そして全力で向き合っていたと思う。
と同時に、決して涙も弱さもこちらには見せないように悟らせないようにしていた。見ていたらなんとなく感じ取ってはいたけれど。


高校一年生は東京の仕事が一気に増えた年で、肩書だけの「関西ジャニーズJr.」だった。
かと言って、東京のJr.(とファン)に完全に受け入れられている訳でも…歓迎されている訳もなく、一応関西の仕事もしていて曖昧で、まさしく宙ぶらりんの状態。
見ていて何とも言えない気持ちになったこともあった。

だけれど、仕事を熟す度に確実に着実に成長して行く。
こんなに著しく変わるんだ!と衝撃を受けた。
学んだこと・経験したことを公に披露する際にはちゃんと自分のものにしていて幾度も感動したことを覚えている。

それに、れんくん本人が「関西Jr.の第一線を張らせていただいてる自覚」と語っているように背負い込もうとしてたことも覚えている。
たとえ籍だけ置いている形になっていたとしても、だ。
それこそ東京と大阪の行き来だって大変だったと思う。
それでも『楽しい』という気持ちを持ち続けていたことは伝わってきていた。
そして今、その時に感じた楽しさが今も続いていること・続けられていることを本当に幸せだと語るれんくんがすごく好きだと思った。

背負い込みすぎて倒れてしまいそうだったのに、今は地に足をつけしっかりと歩むようになり本当に頼もしくなった。
そう感じるのは、こういう過去・過程を見守ってたきたからでもある。
中学生の頃から芯の強い子だと思ってきたけれど、今まで以上にますます強い男の子になったなと近頃思うよ。



「坂道くんは“仲間のために”という志向がものすごく強い。単純に勝ちたいという気持ちがありつつも、何より“仲間と一緒が楽しい”“一緒に走る人たちのために頑張ろう”という思いが強い。(略)僕なんかとは段違いだ。」
「人のために全力を注ぐことはない。」
「僕がいるこの世界だと、どうしても自分のために、という部分が必要だと思います。」
「グループでメンバーといる時はメンバーのことも考えますけど、100%誰かのためにとは難しかなぁと思います。」
「小野田にとっての喜びは1位を獲ったことではなく、チームのために自分がしっかりと役割を果たせたと思えたところ、みんなと一緒に勝利の喜びを分かち合えたところに価値を感じています。本当に人として尊敬できる部分です。」
と演じる役である小野田坂道と自身を対比させて話す。

もちろん芸能界を選んだのだから、この世界で一位を取りたいと思い生き抜いてきてるはずなので、これらの発言は至極当然。
でもグループで活動している中でメンバーにまつわる物事を素直に喜ぶれんくんを見てきたし同志を思いやる言動を見てきたので、少し驚いた。
それと、ロードレースで自分のポジションを例えた時にレースの終盤で追い上げてゴールを決める、いわゆる美味しいところ華であるところを担うポジションを選んでいたのも驚いた。*1
グループの先頭がその都度交代する・必ず順番は来ると語っているインタビューを読んでいたから余計に衝撃だったのかもしれない。

何よりこういった部分が今まで言語化・可視化されてこなかったからが一番大きい。
れんくんの真の野心(野望)に触れた気がしてドキッとした。虎視眈々と狙う、暗闇に潜んでいた全貌が一瞬見えた気がして怖さに近い“したたかさ”を感じた。
当然のことだがまだまだ私の知らないれんくんがいる。


とは言え、
「個人でいるときの方がグループを感じることがある。個人で活動することで、グループを知ってもらいたい広めるチャンスだと思う。もちろん個人の役目を全うしつつ。そもそもグループあっての僕ですから。」
とも話すから、れんくんの基盤の一つにグループ(メンバー)は存在してるのだと思う。
ただ少しはぐらかされた気にもなる。
本人も話している通り、自分に与えられた目の前のことを成し遂げるのが彼のモットーでもあるのだろう。



グループについて、今はグループでの役割が固定されていない気がすると話す。
今は僕の役割なのかなと思ってやってると知り、3人で活動し始めた時に(何なら6人で初めて組んだ時も)それこそこの位置に懸けていたようにも見えたれんくんが他の可能性を見出している。
驚きだった。
今は演技の仕事をしたいと言っているし、数々の仕事を熟しMC以外にも興味が湧いてきて、やってみたいと思う対象が増えたのかもしれない。
外部の仕事を経験してみて向き不向き等感じたことがあったのかもしれない。

上京した時のコンサートで「MCやってみたら?」と言われ、実際やってみると「性に合ってた」と感じたと話していて*2
その頃は誌面でそういったことあまり話さなかったし、こちらはれんくんの背中を追いかけることで精一杯で、
不安や心配とか余計なお世話なことを思い測らなかったことはないけれど、当然れんくんの考えや感じてることなんて知る術はなくて、
その頃の身も心も多感かつ取り巻く目まぐるしい環境の変化について多くは語ってこなかったイメージだから、なし崩しにせず覚えてるんだなとわかってなんだか胸がぎゅっとなった。
覚えていても感じていても話すこと話さないことあるんだろうと、これも当たり前のことだけど、当時の心身ともにか細いれんくんを思い出してまた胸が締め付けられた。



「自分自身を俯瞰で見ることはない」「自分が見た自分は主観でしかない」「それを知ったところで何かが変わるわけでもない」
と自身のことをばっさりと斬っていて興奮した。
割と考え方について語る時は物事を斬り捨てるような回答(表現)が多い印象だけれど、自身のことまで斬るなんて痺れる。
それが受け売りなのか、はたまたれんくん自身が導き出した考え方なのかわからないけれど。
ただこちらから見てる分には、こちらへ話してくれる分には、れんくんは自身の置かれている(自身の身を置いている)環境・位置・場所を俯瞰的に捉え考えていると思う。
だからこそ、内に秘めた野心と言うかクールな見た目の内側にしっかりとした熱量を蓄えていて、それこそ“内面から光る”という表し方に重なってくるのだとも思う。*3
それと良くも悪くもれんくんは昔から人(他者)にどう見えるか、どう伝わるか気にしがち。
でも、その傾向がグループにとって役に立てるか考えるという方向に働いているのならば良いのだと思う。
グループへの貢献が全てではないけれど、少なくとも一つの事象にプラスの影響をもたらしているのであれば、良いのではないかと。

「(自分がすることによって)そこに何もなければ自己満足」
そう言えるれんくんはかっこよくて強い。


Mazy Nightのダンスを弱ペダの撮影があったからメンバーみんなと合わせる時間があまりなく、撮影後に自主練をしていたれんくん。
その話を知った際に私はれんさんは努力を惜しまない人だという感想を持ったのだけど、当の本人は「それが“努力”と言えるかわからない」と言うのだから、れんくんは本当に凄い人。
本当にかっこよくて強い人だ。




最後に本業であるアイドルについて
「僕が何かをすることによってどれくらいの人が喜んでいただけるかわからないですけど、もし一人でもいらっしゃるのならという気持ちで何事もやらなアカンなと思うようになりました。何万人は喜ばせられんかったとしても、たとえ一人でも喜んで下さる人がおるなら」
この言葉に胸がぎゅっとなった。
常日頃から口にしている言葉や見せている姿勢、臨むスタンスそのものを表していると感じたし、アイドル永瀬廉が詰まっていると思って胸がぎゅっとなったのだけど、使命と言うのは言い過ぎだろうが強い責任感がプラスされた気がしてかっこいいなと思った。
そこに続く言葉が「またライブもしたい」「ファンの方たちを直接元気づけてあげたいから」
「“直接”元気づけたい」という理由が昔からブレないところ。
言葉にするのがれんくんらしいし、言葉にしてくれる優しさも感じる。
最高のアイドルだ。



誌面を通して新たなれんくんに触れた気がする。
新たと言うか深い部分なのかもしれない。
映画(弱ペダ)を通して別の新たなれんくんに出会えるはず。
今年の夏もれんくんに恋焦がれるのだろう。




*1:どの雑誌だったか思い出せなくて探してみたけど、すぐに出てこなかったので、うろ覚えで申し訳ない。見つけたら出典を書く予定。

*2:れんくんが話してることと実際の時期があやふやになってる気もするので正確にいつのことかはわからない

*3:CLUSTERより